【なめる】とは

オラーイオラーイオラーイオラーイ、はいOKでーす。いらっしゃいませ。

ガソリン満タン頼むよ

お客さんすいません、うちガソリンないんです。

え?

元々はガソリンスタンドだったんですけど、今はしてなくて。

なんだよそれ、ちょっとぐらいあるだろ

いやほんと無いんです。お客さん車検しませんか?うち車検してるんです。

いいよ、まだだから

無料でいいですよ。

そんな訳ないだろ

本当にタダなんですうち。こう言うと今日会いたくなかったって思われるかもしれませんが、お金は沢山もってまして。必要ないんです。

本当だな?じゃあやってくれよ

はい是非。ただ1つお願いがあるのですが。

なんだ

車内をなめさせてもらってもいいでしょうか?

ん、何?

点検終わってから、車の中をなめたいんです。

なめるって、べろべろなめるんか?車を

そうです。

そんなの、嫌に決まってるだろ

まぁそうですよね。でも無料ですよ。点検もしっかりやりますし、油圧とか。

本当に無料か?俺交番とかよく行く人間やぞ

大丈夫です。

よし、じゃあ車検やってもらうよ

えーありがとうございます。

お金に困ってる訳じゃないからな、俺は職場じゃキツネ人材だし

すごいですね。じゃあ今から車検やっていきますね。

ああ、でもよ、なんで車なんかなめるんだ

お客さん県外の人そうだし知らなくて当たり前かもしれませんね。もちろん理由はありますけど、言う事はできません。

理由教えてくれよ

無理です。ごめんなさい。お客さん生きてて、知らないって事を大事にしてくださいよ。知ったら、もう知ってしまうんですよ。

武家商人か、お前は

車をなめるのが好きなんです。それでいいじゃないですか。本当言うと、点検前になめたいんですけど、そこは一応点検後という事で配慮してます。

まぁ分かったから早いとこ車検頼むわ、晩御飯みそ汁だから遅くなったら家内に怒られるんだよ

了解しました。では車をあちらへ。

 

 

 

 

 

お客さん、車検終わりました。

おお、ありがとう

特に異常はなかったですが、タイヤが古かったので交換しておきました。あと細かい消耗品などを色々交換しております。洗車もしておきました。

これはもうなめたのか

はい。

そうか、まぁいいか

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日80を迎え孫がバースディケーキを持ってきてくれた。ささやかなお祝い会だが嬉しいものだ。孫がケーキをなめてる姿を見ていた時に、この事をなぜか思い出した。忘れやすい性格もあって、すっかり忘れていた。なめてる姿など毎年見ているのになぜ急に思い出したのだろう。あの頃は若かったな。あの店員も奇妙で不思議だった。なぜ彼は車などをなめたかったのだろう。結局理由を知らないままだったな。懐かしいなと。そんな事を思い、リビングですごろくをしている孫たちを見ながら窓を少し開けて春を感じる。あまり開けると寒いと怒られるので、ほんの少し。そんな老人の一日でした。

 

【なめる】とは

みくだすという意味である。

まだ日本が車を製造していない頃、アメリカからは車が輸入されていた。当時のアメリカ車の車内には向こうで食べたであろうチョコレートの食いこぼしがたくさんあり、なんとも美味しい味に魅了された日本人が車内をなめるといった行為が一部の地域で流行っていたという。みくだすといっても当時は意味が違う。せまい車内で無理な体勢をする事によって上顎骨が粉砕骨折する者がおり、身を砕す、身砕すといわれていた。身砕くではなく、身砕すとなった由来は、腹を下す者もいた為、下すと砕くが合わさったと言われている。時代は進み、車内をなめる人は減少し、車内を這いつくばってなめる人を軽蔑し、見下ろして見る人が増え、見下すという意味になったという。なお、キツネ人材とは会社でよくできる人という意味である。